「手仕事が伝わること」

ソウマノリコ

こんにちは。編み物を愛して愛してやまない皆さまへ。

編み物をほとんどしない私が何故かまた前回に続き「手紙」というかたちで参加させていただくことになりました。糸つながりということで緩やかにどうぞよろしくお願いします。

私が思う「手仕事が伝わること」は普段の生活の中で起こること。必要な時にひとの手から手へ伝わっていくこと、それがいちばん自然なスタイルだと思っています。手仕事が伝わる時のその場所の匂いや季節の色、伝える人の手の動きが手仕事とともに次の手に伝わっていくこと。

あなたは今、何を編んでいますか?その編み方は誰のやり方ですか?子どもの時からできた?大人になってからはじめた?その時何か発見した?

私は紡ぐことをはじめ、小さな手仕事を伝えるためのワークショップをつづけていますが、参加される人たちと一緒に数時間を過ごすうち、それぞれのやり方で手仕事は自然に伝わっていきます。

そして手を動かしてやってみると意外と大変なこと、難しいことがわかったり、ちょっとした点に気をつけるだけでな―んだ、これでいいんだと納得してじわじわと楽しくなり、次から次へと手が動きます。

やってみないまま「不思議に思って悩む」より、やってみてから「考えて試してみる面白さ」を見つけてほしいのです。なぜなら紡ぎは本当に楽しい手仕事の原点だから。

私が思う手仕事は暮らしの中にある朝起きてから寝るまでの衣食住にまつわる、手を動かす小さなことのあれこれです。渋柿を干したり、取れたボタンをつけたり、糸を紡いだりも、もちろんです。編み物もその一つでしょう、繕ったり雑巾を縫ったりと、糸を使う手仕事はたくさんあります。今は想像しにくいかも知れませんが毛糸や布は貴重な材料だったので家庭では再生、再利用が当たり前で針や糸を使う手仕事は必要なことでした。

伝える場の背景も様ざまで、ボタンのつけ方ひとつをとってもちょっとちがうのが当たり前でそれこそが暮らしの中で伝わって来た手仕事のおもしろさだと思うのです。

ワークショップに参加された人が、その手仕事にまつわる材料や道具のことも含め、小さなエピソードやちょっとした工夫、その人の作りだすあらたな手仕事が知識ではなく知恵として、次の人へさらに伝わっていく。同じ手仕事も伝える人によって少しづつ味付けがちがって伝わっていくことを大切にしたいと思っています。

私はワークショップに参加された人の個性やちょっとしたヒントを参考に素材を変えたりすることもあり、私にとって手仕事を伝えるワークショップは参加された人からも沢山のことが伝わるとても貴重な時間です。

あなたが編み物をする時に、始まりのくさり編みの輪っかはどう作りますか?くさり編みからの細編みはどこをすくいますか?糸はどの指にかけていますか?

ちなみに私の編み方はかぎ針、棒針ともに母から伝わりました。小学生の時、秋の頃、夕食の後片付けをしながらの食卓で伝わったものです。ガチガチのきつい編み方でしたが、それについての改善の指導はなく、ひたすら自分で練習しました。母は糸と針の号数なんてすっ飛ばしていたようです。糸を編むことで面になっていくことが楽しくてただひたすら平面を編んでいました。

私の編み方が正しいかは確かめていませんが今まで困ることもないのでそのまま続けています。

あなたが伝えたい手仕事は何ですか?誰に伝えていきたいですか?

何だかまとまりのないままですが、手紙にて失礼いたします。

ソウマノリコ